CO2を高効率で吸収する岩石、応用の可能性 米大研究(朝日新聞、2008年11月17日)
【ワシントン=勝田敏彦】温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を高い効率で吸収する岩石が世界各地にあり、地球温暖化対策のCO2地下貯留(CCS)技術に応用できる可能性があることを、米コロンビア大の研究チームが突き止めた。米科学アカデミー紀要に論文を発表した。
この岩石は「かんらん岩」。CO2を吸収して石灰岩などに変わる性質がある。だが、地殻変動で地表に露出して空気と接触した場合に限られると考えられていた。
ところが、同チームが中東オマーンで道路工事で掘り出された石灰岩の仲間を分析したところ、かんらん岩が地下水に溶け込んでいたCO2を吸収してできていた。
この結果、空気に直接接触していないかんらん岩もCO2の吸収に使える可能性がある。チームは「地表近くのかんらん岩をボーリングし、CO2を溶かした水を注入すれば、低コストのCCS実現につながる」としている。温水を使えば、吸収効率はかなり高まるという。
かんらん岩は普通、地下20キロ程度より深いところにあるが、オマーン、パプアニューギニア、ギリシャ沿岸部などでは地表近くにも多くある。
ただ、CCS実現にはCO2パイプラインの敷設なども必要で、技術的課題は多いとみられる。
CSSは、温暖化の原因となる大気中の過剰なCO2を地下もしくは水中へ貯留すること。主に海水や専用の溶液へ吸収させたり、プラントで化学変化を起こして貯蔵しやすい他の物質に変化させる方法、高圧をかけてハイドレートにするような方法が考えられており、今回発見されたような地中に多量に存在する固体と化合させて固定する着眼点は新しい。
この記事では技術的課題として、CO2発生源の工場などから「かんらん石」がある場所までパイプラインを引くことがあるとしている。しかしCO2の輸送は他の貯留方法でも同様であり、排出場所の近くにかんらん石が多量にあるなどコスト的に有利だと判断されたら、このかんらん石を使う方法は有望視されるだろう。しかし、かんらん石を使う方法の問題点は他にあるはずである。
ふと思いつく疑問はかんらん石が石灰岩に変化する事で起こる体積と重量の変化である。体積が大きくなれば、地表に歪が発生する。上方へ盛り上がるのは見た目ですぐわかり、水の流れが変わる位で人の生活への影響は少ないと思うが、水平方向の膨張は地が裂ける様で怖い。効率良く吸収できる分、重量も増える。地表に重い物が載れば、周囲との重力分布も変わる。結果的に体積と重量の変化は地震を起こしたりしないのだろうか?
中国四川省の大地震の原因が新たに建設された巨大ダムの重量だったとの指摘もある。影響を見極めての実用化が望まれる。
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