2008年11月14日金曜日

バイオ燃料は食料危機にはならない FAO

WIRED VISIONの報せるところによると、国連食料農業機関(FAO)はバイオ燃料の食料危機への影響は少ないと報告したそうである。食料価格が上昇したため、農家がせっせと食料を増産したためという分析であり、報告書のグラフを見ると安定に向かう穀物の価格トレンドがそれらしく書かれている。

WIRED VISION曰く、国連自身が火をつけたバイオ燃料悪玉論だが少し言い過ぎだったので、打ち消しにかかっているということのようだ。

しかし僕はバイオ燃料は悪玉だとしておきたい。

一つ目の理由は、価格の問題。少しでも需要が増えれば物の価格は高止まりする。農産物は土地と水という有限の物から生まれるだけに、永久の増産は不可能である。数パーセントの高止まりであっても、全ての穀物が国際市場価格に影響を受けるとするならば、貧しいために飢えている人々も数パーセントさらに飢えることになってしまう。せめて不作の時には燃料への消費を抑えて食料にまわすようなフェイルセーフ(あるいはフールプルーフか?)が無いと困る。

二つ目の理由は、倫理と安全の問題。命の素の食べ物を工業製品に転化して良いのかということ。人の口に入るべき穀物が、工場にまわり、工業製品として自動車を動かす。もったいない。そこまでして、利便性を追い求めるのか?人間が生きるためにある農業が崩壊するのでは?という不安を感じる。食べ物に関しては、工業化が進み過ぎて人間最優先を忘れると、毒餃子が作られるのは実証済みなのである。農業と工業はもっと明確に分離すべきである。例えば人間は麦を食べ、燃料は人間様の食べ残しの麦わらから作り出すような技術を開発すべきだ。

バイオ燃料の現状での普及は人間と自動車が同一の素からエネルギー源を奪い合う行為であり、文明化の新しい局面である。文明の維持を考えると単純に否定はできないが、もっと理知に富む解決策があるはずだ。

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